朝のひとしずく
彼女は朝に強い。
僕がまだ布団の中でうだうだしていると、雫葉はもうカーテンを開けている。逆光の中、白いキャミソールが透けて見える。
「……眩しい」
「おはよ。いい天気だよ」
「もう少し寝かせて」
「だめ。朝ごはんできてるよ」
そう言って、布団を剥ぎ取られる。166センチの長身が覆いかぶさってきて、視界がぜんぶ彼女になる。
「ほら、起きて」
柔らかいものが、顔に押し付けられた。
「……それ反則」
「え? 何が?」
本当にわかっていないのか、わかっていてやっているのか。雫葉は笑って身を起こすと、スマホを取り出した。
「あ、待って。今日こそクリアする」
「……またソリティア?」
「うん。あとちょっとなの」
画面を真剣に見つめる横顔。朝日に透ける肌。その眩しさに、毎朝、目が覚める。
起き上がって、彼女の隣に座った。
「……見せて」
「え、興味あるの?」
「ない。でも、見てたい」
雫葉は一瞬きょとんとして、それから、ふわっと笑った。