きまぐれ
日曜の昼下がり、舞は僕のベッドの上で猫のように丸くなっていた。
「ねえ」
返事はない。寝たふりだ。さっきまで絡みついてきたくせに、急にこうなる。
僕は諦めて本を開く。すると、するりと腕が伸びてきて、ページを押さえられた。
「……構って」
「今?」
「今」
見ると、着ていたはずのキャミソールがいつの間にか肩からずり落ちている。白い肌。整った鎖骨。その下の、柔らかな膨らみが、もう少しで——
「……見た」
舞がにやりと笑う。
「見てない」
「うそ。耳、赤い」
するりと起き上がった舞が、僕の本を取り上げる。そのまま膝の上に乗ってきて、小さな顔を近づけた。
「ねえ、私のこと」
「……うん」
「世界でいちばん可愛いって言って」
「言わない」
「じゃあキスしない」
唇が触れそうな距離で止まる。吐息が甘い。
「……世界で、いちばん」
「うん」
「気まぐれ」
舞は一瞬むくれて、それから笑って、結局キスをした。
猫ってそういう生き物だから、仕方ない。